過去の記憶に戻ること

~ 潜在的な危険性と新たな癒しのステップ ~

多くのマインドフルネスやコンパッションの実践では、「心地よい過去の記憶に戻ること」が強く勧められます。これは、今現在、心が穏やかで調和のとれた状態にある人にとっては、大きな助けとなるでしょう。

しかし、深い悲しみや喪失の渦中にある人々にとっては、それがかえって大きな苦しみを引き起こすこともあります。

このような現実に、指導者や実践者たちはどれほど気づいているでしょうか。あるいは、少なくともその可能性に開かれているでしょうか。

もしその視点が欠けていれば、「優しさ」や「思いやり」という名のもとに差し出される言葉や行為が、意図せず人の心を深く傷つけてしまうこともあるのです。

だからこそ、わたしたちは多様な心の状態に丁寧に寄り添い、どのような状況の人にも優しく届く、トラウマに配慮したアプローチを育んでいく必要があります。

思いやりは、相手の今に心を澄ませるところから始まります。

そのことを、私たち一人ひとりが忘れずにいたいと願います。

以下のアラン・ウォルフェルトの文章は、短い中にも丁寧な気遣いが含まれています。

Photo: from book "Grief One Day at a Time: 365 Meditations to Help You Heal After Loss" by Dr. Alan Wolfelt

日本語訳


「思い出とは、愛したもの、自分自身であるもの、決して失いたくないものを

心に留めておくための方法である。」

『ザ・ワンダー・イヤーズ』

とくに深い悲しみの初期には、思い出が苦しみとなることがあります。

楽しかった記憶も、些細な記憶でさえも、
それがもう失われてしまったことを痛烈に思い出させるのです。

けれども、時を重ねるうちに、私たちは気づきはじめます。
思い出は、もっとも大切な宝物なのだということに。

思い出をたどり、誰かと分かち合うとき、私たちは亡くなった人の存在を称えています。
私たちの愛は消えないということを、静かに確かめているのです。
そして今という瞬間に、過去の意味をそっと灯しているのです。

「忘れて前に進んだほうがいい」と言われることがあったとしても、
私はこう心に留めておきます。

過去の音楽に耳を傾けるからこそ、私は今を歌い、未来に向かってダンスできるのだと。